超高齢化社会に向かう現在、注目を集めているナーシングホーム。疾患があり、医療的ケアを必要とする人が入居する施設です。ナーシングホームの看護師の仕事内容や収入、やりがい、看護師からナーシングホームの看護師になるために必要なスキルについて解説します。
有料老人ホームのなかには、介護スタッフとともに看護師が常駐し、入居者の医療的ケアや日常生活のサポートをする施設があります。身体状態に困難を抱える高齢者を支える、このような施設を「ナーシングホーム」と言います。
ナーシングホームに勤務する看護師は、介護と医療を両立させた体制のもと、入居者が地域で生活し続けられるよう、一人ひとりの状態に合わせた看護と医療処置を行います。
ナーシングホームに入居する人の身体状態はさまざまで、一般の老人ホームで受け入れが不可能なケースも少なくありません。こうした疾患を持つ入居者の状態に合わせて、人工呼吸器や胃ろうの管理のほか、点滴や注射、カテーテル処置や管理といった医療処置を行います。
ホームによっては精神病患者を受け入れている場合や終末期、ターミナル期に対応している場合もあります。それぞれに合った医療的ケアを提供するのがナーシングホームの看護師の仕事です。
入居者の健康状態を管理することも大切な仕事です。脈拍や呼吸、体温、血圧、意識レベルなどのバイタルサインを測定・記録したり、病状の変化を観察したりすることでその後のケアに役立てます。医師から処方された薬をきちんと服用できているかもチェックします。
また、入居者本人やその家族に対して病状の説明や健康管理についての指導をすることもあります。現在の状態を理解してもらい、よりよい体調管理につなげます。
ナーシングホームの入居者に関わるのは、看護師だけではありません。介護士はもちろん、医師や薬剤師、栄養士などさまざまな職種の人が入居者の症状改善やケアのために働いています。
こうした他職種との連携も、ナーシングホームの看護師の仕事です。医療関係者・介護関係者と適切な連携を取ることで、包括的な医療ケアが提供できるよう努めます。安全なケアができるよう、ホーム内で働く介護士に対して指導することも多いでしょう。
ナーシングホームの看護師の年収は320~540万円が目安です。月給は30~40万円程度が一般的でしょう。大手ナーシングホームでは給与が高水準であることが多い一方、地域や雇用形態、施設の規模によって年収が左右されることも少なくありません。夜勤があるナーシングホームの場合、看護師の給与が高くなる傾向にあります。
また、給与を上げるためには、認知症看護やターミナルケアの経験を積んで専門性を高めるほか、介護関連の資格を取得してスキルアップするのがおすすめです。
看護師全体の平均年収(508万円)と比べると、ナーシングホームの看護師の年収はやや低いかほぼ同等くらいでしょう。他の仕事と比較してみると、保健師(451万円)や訪問看護師(435万円)と同程度のようです。
しっかりと収入も得ながら、無理な働き方はせず、患者様ともしっかりと向き合いたい方には、訪問看護のお仕事がおすすめです。
以下のページでは現役の訪問看護師のアンケート結果をもとに、訪問看護の仕事について紹介しています。興味のある方はぜひ見てみてください。
訪問看護師って実際どうなの?!
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ナーシングホームは医療的ケアを提供するものの、病院とは違った位置づけです。「病院ではなく自宅で最期を迎えたい」と希望する高齢者の思いにできる限り寄り添うことで、入居者に安心して過ごしてもらえるのがナーシングホームの看護師として働く最大のやりがいと言えるでしょう。
また、介護や認知症ケアに関する知識を得られ、専門性を高められるほか、他職種とのチームワークで仕事を進められます。仕事を通じて成長を実感できる機会の多い仕事です。
ナーシングホームでの看護師の役割は、高度な治療のサポートではなく、日々の医療的ケアや入居者の健康管理です。そのため、看護師免許があり、基本的な看護技術と知識を持っていれば実務上の問題はありません。看護師からナーシングホームの看護師になるために特別に求められる資格はないと言っていいでしょう。
それ以上に重要なのが入居者に対する理解を深め、個々の症状に合わせた適切な看護とケアができるスキルです。他職種と連携することも多いため、コミュニケーション能力も必要になります。
ホスピスは、患者さんの心身の苦痛を和らげるために、緩和ケアや終末期医療を提供している施設です。治療や延命が目的ではありません。
ホスピスの看護師は、患者さんが最期の時間を穏やかに自分らしく過ごせるよう、身体的な苦痛のケアに加え、食事や移動といった日常生活のサポート、精神面でのケアなどを行います。
患者さんの健康状態の観察や、日常生活のサポートを行っています。
食欲はあるか、睡眠はとれているか、ほか、体温や血圧、脈拍などのバイタルサインもチェック。医師や医療スタッフと情報を共有しながら、観察を続けます。健康状態を細かく観察することで、患者さんの生活の質を高められる適切なケアを提供できるようになります。
ほか、自分のことをするのが困難になった患者さんに対し、食事や入浴、移動、排せつ介助など、日常生活のサポートを行うのも看護師の大切な仕事です。
患者さんの身体的苦痛、精神的苦痛のケアも、看護師の仕事です。
病気による痛みや倦怠感、吐き気など、患者さんの身体的な苦痛を正確に把握し、医師と相談したうえで適切な対処を施します。
また、ホスピスには、死への恐怖や絶望感、孤独感など、大きなストレスを感じている患者さんも多くいます。そのような患者さんに優しく寄り添うことも、看護師の重要な役割です。精神的苦痛をできるかぎり和らげ、穏やかに過ごせるよう支えます。
看護師は患者さんのケアだけでなく、その家族のサポートも行います。
患者さんの家族も精神的な不安を抱いているケースが多いもの。不安や悩みに寄り添いながら的確なアドバイスを行い、安心して患者さんを見守れるようサポートします。
また、患者さんが亡くなった後に遺体を清め、丁寧に整えるエンゼルケア、患者さんを失った家族の心の回復を支えるグリーフケアも、看護師の重要な仕事と言えるでしょう。
求人サイトなどの情報をチェックすると、ホスピスの看護師の年収は320~540万円ほどであることがわかります。
地方の施設であれば、年収は300万円台というところが多いよう。大規模な病院のホスピス看護師ですと、600万円を超えるケースも見られます。 看護師の年収は、施設や雇用形態によって大きく幅があると言えるでしょう。
ホスピス勤務の看護師といっても、一般的な看護師の給料と大きな違いはありません。
令和5年の賃金構造基本統計調査によると、看護師の給料は、平均年収が508万1,700円、月給は各種手当を含め35万2,100円、賞与・ボーナスの平均は85万7,500円。データを見ると、保健師(451万円)や訪問看護師(435万円)の年収と同程度と言えそうです。
患者さんとしっかり向き合って、収入を得たい。家庭と仕事の両立を目指したい。 そう望んでいる人には、訪問介護の仕事が向いているでしょう。
ホスピスの看護師のやりがいは、患者さん一人ひとりとじっくり向き合いながら、包括的に支えていけることでしょう。
なかには、死への恐怖などで精神的に不安定になる患者さんもいるため、どれだけ寄り添ってもどうすることもできず、自分のふがいなさに落ち込むこともあるかもしれません。
しかし、終末期の患者さんの身体的・精神的なケアは、ホスピスの看護師にしかできない仕事です。患者さんに寄り添い続け、「家族に囲まれて死にたい」「住み慣れた自宅で死にたい」と患者さんの希望を尊重して最期を迎えられたときに、やりがいを感じられるでしょう。家族からも「ありがとう」と感謝されるはずです。
患者さんやその家族と深く関わり合いながら、全面的にサポートしていきたい。そう望んでいる人であれば、ホスピスでの仕事に大きなやりがいを感じられるでしょう。
基本的に、看護師免許があればホスピスで看護師として働くことが可能ですが、ホスピス勤務を目指すのであれば、まずは臨床経験を積んでおくとよいでしょう。がんや慢性疾患にかかっている患者さんの看護経験が役立つからです。
また、ホスピスケアに関する知識を学んだり、緩和ケア認定看護師やがん看護専門看護師などの資格を取得したりしておくと、より質の高いケアを提供できるでしょう。
看護技術はもちろんですが、ホスピスの看護師は人の死と向き合うことが多い仕事なので、自分の気持ちをコントロールできるようにしておくことも大切です。
ナーシングホームでの看護師の役割は、日々の医療的ケアや入居者の健康管理です。看護師免許があり、基本的な看護技術と知識を持っていれば実務上の問題はありません。
一方、終末期を迎える患者さんの生活のサポートや、身体的・精神的ケアなどが、ホスピスの看護師の仕事です。こちらも看護師の資格を持っていれば可能ですが、臨床経験を積んだり、資格を取得したりしておけば、よりよいケアを提供することができます。一人ひとりの患者さんとじっくり向き合うことができるため、大きなやりがいも感じられるでしょう。
ナーシングホームかホスピス、どちらの看護師がよいのか迷っている人は、その両方を兼ねた事業を行っている訪問看護ステーションという選択肢もおすすめです。病院と同様、訪問介護ステーションにもそれぞれ特徴があります。
このサイトでは、千葉の100近くの訪問看護ステーションの中から、叶えたい働き方に合いそうな訪問介護ステーションを当編集チームがセレクトしてみましたので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
明確な評価制度で努力が結果に直結。
インセンティブ・オンコール手当も充実で、
頑張りがしっかりと還元される。
※オンコール手当、インセンティブ別
※可能なスタッフのみ、平均月3回
オンコール対応なし。
土日祝日がしっかり休めて、
子供の行事にも参加できる。
※資格手当、地域手当、訪問件数手当別
※土日祝固定休みの場合の給与モデル
最長3ヵ月の同行訪問や訪問看護研修など
充実したサポートがあるから、
ブランクがあっても安心して復帰できる。
※オンコール手当、緊急時手当別
※いなげ事業所の給与モデル
選定条件:
千葉市にある訪問看護ステーション99件(「厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索」をもとに調査)のうち、公式HPに訪問看護師の求人についての明記があり、千葉県内に複数の拠点を持つ17社から、下記選定基準をもとに3社をピックアップ(2024年9月5日調査時点)
・ドットライフ:公式HPに評価制度の明記がある企業の中で、インセンティブの金額が最も高い
・訪問看護ステーション デューン:オンコールがない企業の中で、唯一土日祝休みの働き方を選べる
・いーね訪問看護ステーション:公式HPに記載の同行訪問期間が2~3ヵ月と最も長く、かつ訪問看護研修を実施している